星の樹の世界 "ディティス" 精霊の話 | ||||||||||||
今日も来たのですか。貴方も物好きですね。 しかし、誰かが来てくれるのは、嬉しいものですね。もしお暇なら、しばらく私の相手をして下さいね。 さて、今回は、ディティスに住まう精霊達の話をしましょう。 彼らは、肉体を持っていないため、ほとんどの命たちの目には留まりません。そのため、あまりその生態が知られていません。 だから貴方も、精霊なんて知らないでしょう? さぁ、この話は雑学だと思って、軽い気持ちで聞いていてくださいね。 ディティスは精霊の加護を受けており、多様な精霊たちが世界中に住んでいます。これは、『マナム』という魔力物質が、世界の中に豊富に存在するからです。『マナム』は世界樹といわれる、世界の根幹を支える大樹によってつくられています。 精霊は、この世界では『リツァル』と言われています。また、全ての精霊が、額に『精霊石』と呼ばれる『マナム』の結晶を持っています。そしてこの世界で唯一、『マナム』を操ることができる種族です。 何故、精霊は『マナム』を操れるのでしょうか。 精霊達は世界樹から生まれ、『マナム』と同じ魔力物質からできていると言われています。そのために、『マナム』を蓄積し、操る能力を備えているのだと理解されています。 でも、精霊には意識も自我もあるんですよね。つまり、生命体なんですよね。もし、精霊が『マナム』と同質なら、彼らは生命なのでしょうかね? ……失礼しました。私はどうも、脱線しがちでいけません。 気を取りなおして、精霊の話ですね。 さて、精霊の話をするにあたって、最初に話さねばならないのは、この世界を支えている『世界樹』のことです。 何故、最初に『世界樹』の話なのでしょうか。それは、精霊と『世界樹』が切っても切り離せない関係だからです。まぁ、精霊は『世界樹』から産まれてますからね。当然と言えば当然ですね。 世界樹とは、世界を支え、生命を生み出したと言う伝説の樹木のことです。その背丈は雲を突き抜けるほど大きく、幹は1つの街がすっぽり入ってしまう程の太さです。しかし、それほど大きな樹なのに、現在世界樹は、世界のどこに生えているのか、はっきりと分かっていません。 さぁ、以前聞いたこの世界の伝説に基づいて、話を進めていきましょう。 伝説によれば、世界樹は、この世界が生まれたときに、同時に生まれたのだと言われています。しかしその時、ディティスには虚無以外、何もありませんでした。 何もないディティスに、まず世界樹は『マナム』を生み出しました。『マナム』は、世界樹が生きていくためにも重要であるそうです。世界に『マナム』が満ちることによって、ディティスは息づき始めました。 そして次に、世界樹は精霊を生み出しました。まず産まれたのは、『大精霊』と呼ばれる精霊達です。 大精霊は、世界の根幹に関わる大切な仕事を任された、高位の精霊達です。莫大な魔力を持ち、すばらしい力を操ります。創世紀には、世界樹が新たな精霊達を生み出すのを助け、育てる役目も司っていました。 彼らは世界樹に住まい、命たちにその姿を見せることは、ほとんどありません。 彼らは額に大きな緑の『精霊石』を持ち、それぞれが特別な役目と固有の名前を持っています。
これが、大精霊達の名前と役割です。彼らを召喚する際には、これらの情報を理解しておく必要があるんですよ。 ………あぁ! 忘れていました! もう1人、このような大精霊もいます。
この大精霊は、他の大精霊とは少し違うようですが……。何が違うのかは、又の機会にお話しましょう。 次に、世界樹は多くの精霊達を生み出しました。 まず最初に、光と闇が生まれました。 光の精霊は『ライティリオン』と呼ばれています。彼らは耳の部分に光り輝く白い2対の羽と、白い精霊石を持っています。彼らは世界の上方に上り、光り輝く天空を生み出しました。 闇の精霊は『ダークレア』と呼ばれています。彼らは耳の部分にしっとりと光る黒い2対の羽と、黒い精霊石を持っています。世界の下方に横たわり、暗く穏やかな大地を生み出しました。 大精霊は光と闇の精霊を制御し、交互にその力が発揮できるようにしました。それが『昼』と『夜』の始まりです。 次に、火や風や水や大地の精霊達が生まれました。これらの精霊は、できたばかりの世界を潤しました。 火の精霊『ファイリア』は、火の中や、大地の奥にあると言う星の核に多く住んでいます。赤い精霊石を持つ彼らは、黄金に輝く角と皮膜のある翼を持ち、紅く輝く竜のような姿をしています。激しいその性格を生かして核を揺すり、火山を噴火させ、大地を活性化させました。 風の精霊『ウィンネリア』は、風を生み、風に乗って世界中を巡っています。彼らは紫の精霊石を持ち、耳の部分と踝に1対ずつ翼を持つ、鳥のような姿をしています。彼らは世界の空気を循環させ、光が作った天空を広々と澄み渡らせました。また、気まぐれなその性格でファイリアをあおったりもしました。 水の精霊『ウォートゥリア』は、海や川などの水の中にいます。それだけではなく、雲に乗り、雨となって地上に降り注ぎます。青い精霊石を持つ彼らは、蒼く透き通った魚のような姿で、耳の部分がヒレの様になっています。彼らはディティスを水で覆い、豊かな生命をもたらす土壌を作りました。 大地の精霊『グラーディア』は、その名の通り、大地に生きています。彼らは黄色の精霊石を持ち、彼ら自身が水晶の結晶のような姿です。彼らは闇が作った大地を固め、星の形を確固たるものにしました。 そして最後に、世界樹は数多くの生命を生み出しました。 それと同時に、緑の精霊『トリーニア』が生まれました。彼らは森の木陰に踊り、草原の草陰に歌いながら暮らしています。緑の精霊石を持ち、長い耳と梢のような翼を持つ彼らは、大精霊と共に、生まれたばかりの命たちを育んでいきました。 そうしてこの世界は、今日の美しい姿になったと言うことです。 伝説を通して、精霊を語ってきましたが、いかがでしたでしょうか。 今、ディティスでは、精霊たちの生態システムが複雑化しており、説明するのは容易ではありません。ですが、基本のシステムは、今説明した事柄の通り、受け継がれているようです。 ディティスの命たちには、いつまでも、この美しい世界を守っていって欲しいものですね。 それでは、今日はこの辺で。 |
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