星の樹の世界 "ディティス"

『命』と呼ばれる生き物の話
〜人間族〜

 おやまぁ、お元気でしたか。
 こう何度も来るとは、本当に貴方は物好きですね。
 ですが、喋る相手がいるのは嬉しいことです。また、少しの間お相手をしてくださいね。



 さて、今日はディティスに住んでいる知的生命種族の1つ、「人間族」についてお話しましょう。

 人間族は、ギレア語で『ヘマル』と言い、ディティスの知的生命種族のうち、最も数の多い種族です。彼らは妖精族(エーレル)や竜族(ドラグーン)に比べて寿命が短く、魔力的素養に乏しいため、高度な魔法を使いこなす者は多くありません。しかし、繁殖力が高く、向上心や欲が最も大きい種族です。
 大きく分けて4種類の種族が存在します。

チェス「耳が見えるように髪を止めたよ!」  まず、1つ目は『ヘゥル人』。猿のような丸い耳が特徴です。

 彼らは4種のヘマルのうち、最も人数の多い人種で、能力的には4種族中、最も平均的な能力を持ちます。しかし、知能だけは他の種族より平均的に高く、学術都市に赴くとヘゥル人の姿がより目立ちます。
 彼らの地域分布は世界中に広がっており、特に北部に多く在住しているようです。



エンディ「お〜。存分に見るといいゾ」  次に2つ目、『ファル人』。猫の耳を持つ人種です。

 彼らは身体能力、特に瞬発力・持久力に長け、環境適応能力に優れています。その証拠に、歴代の著名なウェヘルを調べてみても、ファル人が目立ちますね。しかし、魔力的素養に乏しく、魔道師となるものは少ないようです。
 彼らは世界の東部に多く偏在し、特にシレィラ大陸にたくさん在住しています。また、アルシャ大陸の東部にも多いのが特徴です。



片秀「俺で良ければ、参考にしてください」  そして3つ目は『レシェル人』。犬様の耳を持つのが特徴です。

 彼らは魔力的素養が高く、魔道師として功績を残している者も少なくありません。その証拠に、竜族と唯一契約を交わすことに成功している国家、アセイア共和国は、レシェル人の建国した国家です。
 しかし、その魔力を使いこなす体力がなく、ほとんどのレシェル人は魔力を秘め持つだけで、実際に行使している力はその半分程度だということです。
 彼らが最も多いのは世界中央のクレマンシルト群生島です。



フェール「仕方ない、つきあってやるよ」  最後に4つ目、『メトル人』。ウサギのような長い耳の人種です。

 彼らは身体能力・魔力は平均的ですが、繁殖能力に優れており、双子、三つ子は珍しくありません。しかし彼らは他の3種に比べて短命で、そのために繁殖力が上がったのだろうと言われています。
 彼らのほとんどはマファルタ大陸に在住し、特に大陸南部に集中しています。



 彼ら4種のヘマルは、互いに混血が可能で、違う人種の両親を持った子供は、50%の確率で、どちらかの親の外見的特徴を持って生まれてくるそうです。しかし、能力は必ずしも外見に伴わないのが普通です。そのため、現在では人種による能力差はあまり目立たなくなっています。

 例外として、ヘマルがエーレル、特にエルフと混血した場合は、その子供の外見的特長は両親と異なるものになります。具体的にそれらの子供は、エーレルの特徴である緑の瞳と、ヘゥル人の耳を尖らせた形の短い尖った耳を必ず持って生まれてきます。
 そのため、彼らは疎まれ、差別される傾向にあるそうです。
 悲しく、愚かなことです。貴方も、人を外見で判断するようなことは、なるべく避けた方が良いと思いますよ。



戻る   他の物語へ